助産師とは?仕事内容、なり方、給料、看護師との違いまで徹底解説!

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最終更新日:2025/07/24

助産師とは?仕事内容、なり方、給料、看護師との違いまで徹底解説!

「新しい命が生まれる、あの奇跡の瞬間に立ち会いたい」 看護の道を志す中で、あるいは医療現場で働く中で、そんな特別な想いを抱いたことはありませんか?もしあなたが、生命の誕生という神秘的な瞬間に深く関わり、女性の一生を支える仕事に魅力を感じるなら、「助産師」というキャリアが、その想いを叶える道となるかもしれません。 助産師は、単にお産の介助をするだけの仕事ではありません。妊娠から出産、そして育児という新しい家族の始まりをサポートし、さらには思春期から更年期に至るまで、女性の一生の健康に寄り添う、非常に専門性が高くやりがいに満ちた専門職です。 この記事では、「助産師と看護師って何が違うの?」「どうすれば助産師になれるの?」「お給料や将来性は?」といった、あなたが抱えるであろうあらゆる疑問に、一つひとつ丁寧にお答えしていきます。 この記事を最後まで読めば、助産師というキャリアの解像度が格段に上がり、あなたが本当に目指すべき道なのかどうかを、きっと明確にすることができるでしょう。さあ、命の誕生を支える尊い仕事、「助産師」の世界を一緒に探っていきましょう。

目次

  • 助産師とは?

  • 助産師と看護師、何が違う?

  • 助産師の具体的な仕事内容を時期別に解説

  • 助産師が活躍する場所は?キャリアの選択肢

  • 助産師になるには?資格取得までの3つのルート

  • 助産師のリアルな「やりがい」と「大変さ」

  • 助産師の給料・年収はどのくらい?看護師との比較

  • 助産師の将来性と多様なキャリアプラン

  • まとめ

助産師とは?

まずはじめに、「助産師」がどのような資格で、社会でどのような役割を担っているのか、その本質から理解していきましょう。

助産師の法的定義

助産師は、「保健師助産師看護師法」という法律に基づいて厚生労働大臣から免許を与えられる、れっきとした国家資格です。

法律上、「助産師とは、厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じよく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう」と定められています。

長らく女性に限定された資格でしたが、法改正により現在では男性も看護師資格があれば助産師教育課程に進むことが可能となり、少しずつ男性助産師も誕生しています。

看護師資格が必須のステップアップ資格

助産師というキャリアを語る上で最も重要な前提は、助産師になるためには、まず看護師の国家資格を取得している必要があるという点です。

看護師として人体や疾患に関する幅広い知識と技術を身につけた上で、さらに専門的な教育を受けることで初めて、助産師への道が開かれます。

つまり、助産師は看護師の専門性を基盤とした、さらなるステップアップ資格と位置づけられています。

助産師のケア対象は「女性の一生」

助産師と聞くと、多くの人は分娩室で赤ちゃんを取り上げる姿を想像するかもしれません。

もちろんそれは助産師の重要な役割の一つですが、ケアの対象は妊産婦と新生児だけにとどまりません。

現代の助産師は、女性のライフサイクル全般における「性と生殖に関する健康(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)」を支える専門家です。

具体的には、思春期を迎えた子どもたちへの性教育、妊娠を望むカップルへの不妊に関する相談、更年期を迎えた女性の心身の不調に関する健康相談、そして家族計画の指導など、その活躍の場は非常に多岐にわたります。

助産師は、女性が自らの意思で健康的な人生を送れるよう、生涯にわたってサポートする存在なのです。

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助産師と看護師、何が違う?

看護師からのキャリアチェンジを考える方にとって、最も知りたいのが「助産師と看護師の違い」でしょう。

ここでは、両者の決定的な違いを2つのポイントに絞って解説します。

違い①:資格と業務範囲(開業権の有無)

一つ目の、そして最大の違いは、許されている業務範囲とそれに伴う資格の特性です。

看護師の業務は、法律で「傷病者に対する療養上の世話又は診療の補助」と定められており、全ての業務は医師の指示のもとに行われます。

分娩の場においても、看護師は直接的な介助はできず、産婦のケアや医師・助産師の補助的な役割に徹します。

一方、助産師は看護師の業務に加えて、「助産」を行うことが法的に認められています。

 ここでいう「助産」とは、医師の指示がなくても、助産師自身の専門的な判断によって正常な経過の分娩を単独で介助することを指します。

これは助産師だけが行える「独占業務」です。

この自律性の高さから、助産師には自ら「助産所(助産院)」を設立・運営できる「開業権」が認められています。

これは、看護師にはない、助産師だけの大きな特徴です。

違い②:専門領域とケアの視点

二つ目の違いは、ケアの対象となる専門領域と、物事を見る視点にあります。

看護師は、新生児から高齢者まで、あらゆる年齢の、あらゆる疾患を持つ人々(傷病者)をケアの対象とします。

その主な目的は、病気の治療を補助し、患者さんが一日でも早く回復できるよう支援することです。

対して助産師は、その専門領域を「妊娠・出産・育児」と「女性の生涯にわたる健康」に特化させています。

ケアの視点も、病気を治すというよりは、妊娠や出産といった人間が本来持つ自然な生命の営みを最大限に尊重し、支えることに重きを置いています。

産婦さん自身が持つ「産む力」を信じ、その人らしいお産ができるように寄り添い、自己決定を支援する姿勢が強く求められます。

助産師の具体的な仕事内容を時期別に解説

助産師の仕事は、時期によってその役割が変化します。

ここでは、妊娠期から出産、そして産後まで、助産師がどのように関わっていくのかを具体的に見ていきましょう。

妊娠期:心と体の準備をサポート

妊娠が分かってから出産までの約10ヶ月間、助産師は妊婦さんの最も身近な相談相手となります。

妊婦健診では、バイタルサインの測定や腹囲・子宮底長の測定、超音波エコーでの胎児の様子や心音の確認などを行い、妊娠が順調に進んでいるかをチェックします。

同時に、食事や運動、体重管理といった生活面での保健指導や、妊娠中のマイナートラブル(つわり、腰痛、便秘など)への対処法をアドバイスします。

また、「どんなお産がしたいか」というバースプランの相談に乗ったり、出産への不安を丁寧に傾聴したりと、精神的なサポートも非常に重要な役割です。

分娩期:命の誕生に寄り添う

陣痛が始まり、いよいよお産が近づくと、助産師の専門性が最も発揮される場面となります。

分娩の進行状況を的確に判断しながら、産婦さんがリラックスして本来の「産む力」を発揮できるよう、マッサージを行ったり、呼吸法をリードしたり、最適な体勢を提案したりと、あらゆるケアを駆使します。

そして、正常な経過をたどる分娩においては、助産師がその手で新しい命を取り上げます。

一方で、お産は何が起こるか分かりません。

胎児の状態や分娩の進行に異常が見られた場合は、迅速に判断し、産科医と連携して適切な医療介入につなげることも、母子の安全を守るための重要な責務です。

産褥期・新生児期:新しい家族のスタートを支える

出産を終えた直後から、母親の体は元の状態に戻ろうと大きく変化します。

助産師は、子宮の戻り具合(子宮復古)や悪露(産後の出血)の状態を観察し、母親の心身の回復を支援します。

同時に、生まれたばかりの新生児のケアも行います。

バイタルサインの測定や沐浴、体重測定などを通じて、赤ちゃんが元気に新しい環境に適応できているかを確認し、黄疸や先天性の疾患がないかなどを注意深く観察します。


特に重要なのが母乳育児の支援です。授乳の仕方を指導したり、乳腺炎などの乳房トラブルに対応したりと、母親が自信を持って育児をスタートできるようサポートします。

退院後も、育児の不安や悩みの相談に乗るなど、新しい家族の門出を支え続けます。

分娩だけじゃない!助産師の多様な役割

助産師の仕事は、分娩施設の中だけにとどまりません。

地域に飛び出し、市町村が実施する乳幼児健診や母親学級の講師を務めたり、小中学校や高校に出向いて「いのちの授業」と題した性教育を行ったりします。

また、不妊治療専門のクリニックで悩めるカップルのカウンセリングを行ったり、更年期を迎えた女性の健康相談に乗ったりと、その活躍の場はますます多様化しています。

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助産師が活躍する場所は?キャリアの選択肢

助産師資格を活かせる職場は、実は多岐にわたります。

自身のライフステージや興味に合わせて、多様なキャリアを選択できるのも助産師の魅力です。

病院(大学病院・総合病院)

最も多くの助産師が働く、王道の職場です。

産科、産婦人科、NICU(新生児集中治療室)などが主な配属先となります。

正常分娩だけでなく、帝王切開や合併症を持つハイリスク妊娠・分娩など、幅広い症例を経験でき、医師や他の医療スタッフとのチーム医療を深く学べます。

教育体制も充実しており、キャリアの土台を築くには最適な環境です。

クリニック・有床診療所

地域に密着した産婦人科クリニックや、お産を扱う有床診療所も人気の職場です。

病院に比べてアットホームな雰囲気の中、一人の妊産婦さんと妊娠初期から産後まで継続して深く関わることができます。

その人らしいお産をサポートしたいという志向の強い方に向いています。

助産院

助産師が管理者となり、助産師主体のケアを提供する施設です。

医療介入を最小限にとどめ、フリースタイル分娩や水中出産など、自然なお産をサポートします。

助産師としての自律性を最大限に発揮できる場所であり、経験を積んだ助産師が自らの理想のケアを実現するために開業するケースも多いです。

地域(保健所・保健センター)

地方公務員として、地域の保健所や市町村の保健センターに勤務する道もあります。

ここでは、母子健康手帳の交付、乳幼児健診、家庭訪問、育児相談など、地域の母子保健行政の担い手として活躍します。

その他

上記以外にも、不妊治療を専門とするクリニックでの不妊カウンセリング、看護大学や専門学校での後進の育成、JICA(国際協力機構)などを通じて開発途上国の母子保健向上に貢献する国際協力の道など、多様な選択肢が存在します。

助産師になるには?資格取得までの3つのルート

助産師という専門職に就くためには、どのようなステップを踏めばよいのでしょうか。

看護師資格を取得していることを前提に、大きく3つのルートが存在します。

ルート①:4年制大学でダブル受験資格を取得

最もストレートな方法は、高校卒業後、看護師養成課程と助産師養成課程が統合された4年制大学に進学することです。

4年間の学業を修了すると、卒業時に看護師と助産師の両方の国家試験受験資格を同時に得ることができます。

現役の学生にとっては、最短で助産師になれるルートです。

ルート②:看護大学・短大・専門学校卒業後、大学院へ

看護師の資格を取得した後に、助産師養成コースのある大学院(修士課程・2年間)に進学するルートです。

このルートでは、助産師としての専門知識・技術に加え、研究的な視点や能力も養うことができます。

将来、教育者や研究者、あるいは高度な実践能力を持つ専門家としてキャリアを築きたいと考える方に適しています。

ルート③:看護師資格取得後、助産師養成所へ

看護師として臨床経験を積んだ後や、一度社会人を経験してから助産師を目指す方に最も多く選ばれているのがこのルートです。

看護師資格を取得後、1年制の専門学校である「助産師養成所」に入学します。

1年という短期間に集中して専門知識と実習をこなすため、非常に密度の濃い学びの期間となります。

いずれのルートを辿った後も、最終的には「助産師国家試験」に合格する必要があります。

試験は年に1回、例年2月に行われますが、合格率は毎年99%前後と非常に高く、養成機関で真面目に学べば、合格は決して難しいものではありません。

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助産師のリアルな「やりがい」と「大変さ」

どんな仕事にも光と影があります。助産師というキャリアを選択する前に、その仕事の魅力と厳しさの両面をしっかりと理解しておくことが大切です。

最高のやりがい・魅力

助産師の仕事のやりがいは、何物にも代えがたい特別な瞬間に凝縮されています。

新しい命が生まれるという、感動的で神秘的な瞬間にプロフェッショナルとして立ち会えることは、最大の喜びです。

無事に出産を終えたお母さんから、「あなたのおかげで頑張れた」「あなたがいてくれて心強かった」という感謝の言葉をかけてもらえた時、全ての苦労が報われると感じるでしょう。

また、自らの専門的な判断でケアを進められる場面が多く、女性の一生に深く寄り添い、頼られる専門家として自律して働けることも、大きな魅力の一つです。

覚悟すべき大変さ・厳しさ

しかし、そのやりがいは、計り知れないプレッシャーと責任の上に成り立っています。

助産師は、お母さんと赤ちゃんの二つの命を同時に預かる仕事です。

常に冷静な判断と的確な技術が求められ、その責任の重圧は決して軽いものではありません。

また、お産は24時間365日、昼夜を問いません。

不規則な勤務や緊急の呼び出しに対応するオンコールなど、体力的な負担も大きいです。

そして、全てのお産が喜ばしいものとは限りません。

時には、死産や赤ちゃんに先天的な異常が見つかるといった、悲しい現実に直面し、ご家族の深い悲しみに寄り添わなければならない精神的な辛さも伴います。

助産師の給料・年収はどのくらい?看護師との比較

キャリアを考える上で、収入は重要な要素です。

助産師の給料は、一般的に看護師よりも高い水準にあります。

各種統計データによると、助産師の平均年収は550万円~600万円程度とされており、看護師の平均年収を50万~100万円ほど上回る傾向が見られます。

この給与差が生まれる理由は、まず資格の専門性の高さから基本給が看護師よりも高く設定されていることにあります。

それに加え、助産師特有の手当が上乗せされることが大きいです。

例えば、一件のお産を介助するごとに支払われる「分娩介助(お産)手当」、いつ呼び出されるか分からない状態で待機することに対する「オンコール手当」などが、収入を押し上げる要因となっています。

働く場所によっても収入は異なり、一般的には手当の多い病院が高く、助産院は経営状況によって変動します。

公務員として働く場合は、規定の給与体系に準じます。

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助産師の将来性と多様なキャリアプラン

「少子化が進む中で、助産師の仕事は将来なくなるのでは?」と不安に思う方もいるかもしれません。

しかし、その答えは明確に「NO」です。

むしろ、助産師の専門性が求められる場面は、今後ますます多様化し、拡大していくと予測されています。

少子化だからこそ、一回一回のお産を「安全で質の高い、満足のいくものにしたい」という妊産婦のニーズは高まっています。

また、産後うつや育児ノイローゼの予防・ケア、増加する不妊の悩みへの対応、児童虐待の予防といった社会課題においても、妊娠期から家族に寄り添える助産師の役割は非常に重要です。

助産師としてのキャリアプランも非常に多彩です。

臨床のスペシャリスト

病院内で助産師外来を立ち上げたり、院内助産システムの中心的な役割を担ったりします。

より高度な実践能力を証明する「アドバンス助産師」などの認証資格を取得し、臨床のプロとして現場をリードする道です。

管理者への道

経験を積み、看護師長や看護部長といった管理職を目指すキャリアです。

組織全体の視点から、より良い周産期医療の提供体制を構築していきます。

独立・開業

助産師の特権である開業権を活かし、自らの理想のケアを実現するために「助産院」を開業します。

経営者としての手腕も問われますが、大きなやりがいのある道です。

教育・研究者

大学院に進学し、未来の助産師を育てる教育者や、日本の周産期医療の発展に貢献する研究者の道に進むことも可能です。

国際舞台での活躍

語学力を磨き、国際協力機関の一員として、開発途上国の母子保健の向上に貢献するという、グローバルなキャリアも選択肢の一つです。

まとめ

ここまで、助産師という仕事について、その役割からなり方、そして未来の可能性までを詳しく見てきました。

助産師は、看護師としての知識を基盤に、さらに高度な専門知識と技術を身につけ、女性の妊娠・出産から生涯の健康までを支える、自律した誇り高き専門職です。

その責任は重く、決して楽な仕事ではありませんが、新しい命の誕生という、何にも代えがたい感動とやりがいに満ちています。

もし、この記事を読んであなたの心が少しでも動き、「助産師」というキャリアに魅力を感じたのなら、それはあなたの新しい未来への大切な第一歩かもしれません。

まずは、助産師が今、どんな職場で、どのように求められているのか、実際の求人情報をその目で確かめてみませんか?

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